ののわ

東京のまん中にあるライフスタイルを考える

地域の魅力を共有し、
暮らし方や働き方を見つめ直すことで、
この地域ならではのライフスタイルを探っていきます。

記事詳細

「生きるように働く」人の求人サイトを運営するナカムラ ケンタさんと、小平を暮らしやすく働きやすいまちにしようと地域活動やコミュニティビジネスを支援する竹内千寿恵さんに「地域で働く」ことについて語り合っていただきました。

ののわトークセッション

第10回ののわトークセッション公開対談『地域で働く』

「このまちで働きたい」「人と出会いたい」から
生まれた仕事

ナカムラ いきなり個人的なことなんですが、僕は会社で働き始めてから自分の仕事で悩むことがあって、あるバーに通うようになりました。多い時には週6日も通って、今でもよく行くところです。なぜそんなに通うんだろうと考えて気がついたのは、「いい場所にはそこに合った人」がいるということ。そうした出会いがつくれれば、「生きるように働く」人が増える。そうすると魅力的な場所になるんですね。人と場所の最適な出会い、それが今の「日本仕事百貨」につながっています。

 竹内さんは具体的にどのように仕事をしているのですか?

竹内 私たちの仕事は基本的に中間支援*1なので、ものづくりや物販はしていません。支援しているのはコミュニティカフェだったり、子どもたちに勉強を教えたり、フィルム・コミッションだったりというコミュニティビジネスの基盤づくり。さまざまな問題を解決しながら、活動がボランタリーではなく、自分たち自身もコミュニティビジネスとして事業を持続できるように仕組み化しています。

 特に仕事を得るための活動をするというよりも、日々の活動をていねいに発信することによって、私たちの活動に関心を持つ企業や団体が発見してくださって、そこから仕事依頼につながることが多いです。私たちのMystyleでは、サイトづくりやソーシャルメディアの発信、動画づくりなど発信に関わるスキルは必須で、メンバーはみな担当できるようになっています。

ナカムラ すごい瞬発力ですね!

竹内 私はもの心ついた頃から、まわりには起業した人ばかりでしたから、それが普通だったんですね。昔から好奇心は旺盛でした。やってみたいことがあると、もうやらずにはいられません。

ナカムラ 僕もそうです。ただ保守的なところもあるので、すごく借金を抱えるようなことはやりませんね。

竹内 私も基本的に無借金でいきたいです。事業を大きくする中で融資を受けることも必要な場面はありますが、新しい事業を育てる時には、自己資金の中で発想を育てることや、時には撤退する判断の自由さがあることが、私たちらしさにつながるような気がしています。

 お金がないなら、それなりのやり方がある。それをすごく考えます。そうするとできるんですね。結果としてクオリティも悪くなく、コストはかからない。みんなの手を借りて一緒にやるから、何ものにも替えがたいものができます。仕組みを変えることで、よりいいものができるんです。

 私たちはおかげさまで特に営業することなく仕事をいただいていますが、ナカムラさんも営業はしていないようですね。

ナカムラ そうですね。基本的に対等な関係で仕事をしたいんです。「日本仕事百貨」は求職者に向けて書いています。お金は求人者からいただくわけですが、あくまでも求職者目線を貫きます。そこでひいてしまうとうまくいかない。仕事を求めている人がほしい情報を提供することだけに徹するのが、結果的にクライアント(求人者)の利益になります。こうした僕の姿勢を理解してくださる方が多いので、幸いなことに営業に苦労することはありません。

竹内 私たちも、仕事をくださる方がすでにブログなどを読んで私たちのことを理解されていることが多いので、仕事の話は最初からうまく進みます。

ナカムラ ケンタ
「日本仕事百貨」代表。株式会社シゴトヒト代表取締役。1979年東京生まれ。明治大学大学院建築専攻修了。不動産会社を経て、2008年、生きるように働く人の求人サイト「日本仕事百貨」を立ち上げる。「シブヤ大学しごと課」や「シゴトヒト文庫」のディレクターをはじめ、東京の真ん中に小さなまちをつくるプロジェクト「リトルトーキョー」や「しごとバー」などの企画・デザインを監修。著書に『シゴトとヒトの間を考える』(シゴトヒト文庫)がある。
http://shigoto100.com

目いっぱい働くのではなく、時には息抜きを

ナカムラ 僕は子どもの頃、親が転勤族だったので、よく引っ越しをしました。だからたくさんの出会いがあったんですね。相手のふところに入るのは得意なほうかもしれません。ただそればかりでは疲れてしまうので、バーにひきこもるんです。お酒はそんなに飲めるわけではないけれど、ひきこもらないとバランスがとれないんです(笑)。

竹内 自分の家ではダメなんですか?

ナカムラ 家は家族の場ですしね…。バーは家から歩いて1分のところにあって、ひとりにもなれる場所です。バーがあるから引っ越せなくなって、中目黒に住んでもう9年。僕の人生でこんなに長く住んだまちはないですね。

竹内 突き進んで行く人は、バランスをとるために自分ひとりになれる場所が必要なんですね。いつもハイテンションでは燃え尽きてしまいます。ナカムラさんのバーにあたるのは、私の場合はご近所温泉です。

ナカムラ 自分の内で考えるのは大切な時間ですよね。

竹内 内省する時間があることはしあわせです。インプットされたものが自分の中のあちこちに散らばっていて、そのうち「あ、こうつながるかな」と思う。それは、ひとりでポワンとしている時に生まれる。それがうれしいんです。

竹内千寿恵(たけうち ちずえ)
NPO法人 Mystyle@こだいら 代表理事。大学卒業後、出版社の編集を経て結婚。8回の転勤生活を送る中で出産、子育て、両親の介護を通じて、地域サポートの重要性を実感。2006年に、コミュニティビジネスの活性化をめざすNPO法人を設立。暮らすまちで働くことにこだわり、同じ思いの人々が仕事につけるように情報発信、相談、セミナー、イベントなどさまざまな支援を行っている。
http://mystyle-kodaira.net

時には「とりあえずやってしまう」ことも必要

ナカムラ 転職したい、起業したいと悩んでいる人も多いでしょうが、僕が取材した神山塾の大南さん*2は、「みんな勉強熱心やな。頭で考えて解決しようとするけど、でもそれじゃ、解決できないよ」と言っていました。

 僕は知識を詰め込むよりも、「とりあえずやってしまう」タイプです。始めから知識を得てしっかり準備しないと、大きなことはできないんじゃないか、小さく終わってしまうんじゃないか、という不安を感じる人もいるようですが、そんなことはない。ゆっくりかもしれないけど、自ずと広がっていくんです。

 やる前からどうなるかはわからないし、いきなり大きく構えると、そのうち違和感を感じることが多い。目の前のちょっとしたことからまず始める。無理矢理つくらなくてもいいと思います。

 ただ、やっていく中で、僕はとことん考えますけどね。

竹内 その意味では、私は本能的かもしれません。あまり考えず、シナリオも書いたことがない。「降りてくる」感じです。

ナカムラ そうか、天性の勘で進められるタイプなんですね。

竹内 これまでは言葉にすることや仕組みで伝えることをしてこなかったのですが、最近では次の世代にバトンタッチすることを意識するようになって、そのあたりをきちんとしなくちゃ、と考え始めています。

地域で働くということは?

ナカムラ 地域で働くというところから考えると、都心よりも郊外では求人は少なくなります。起業して働くにしても、ほんとうにやっていけるのか、不安もあるでしょう。

 でも、都心は高い家賃を払わなくてはいけない。短期で回収を考えるから骨抜きになり、ほんとにやりたいことから離れてしまうかもしれない。いつの間にか家賃を払うのが目的になったり。それが郊外だと、家賃も安いから、自分のやりたいことを実現する可能性は高くなるかもしれません。

竹内 私はまさにそうしたいんです。私にとって家族がいるこのまちで仕事をすることが大事なんです。毎日へとへとになって都心に通う働き方ではなくて。

 地域をよく見てみると、仕事のタネもニーズもいっぱいあります。それをひとつひとつ拾い上げながら、仕事の仕組みをつくっていけばいい。大きな儲けにはならないかもしれないけれど、小さな事業がたくさんあるところは、セーフティネットも豊かなんです。これからの「暮らしやすい、住んでみたい」まちの基準は変わっていくのではないかと思っています。自転車や歩いてまわれるくらいの大好きなエリアで暮らして働きたいというのが、私の一番やりたいことなんです。

(構成・文:中野照子)

<ナカムラケンタさんの仕事>
1. ナカムラケンタさんがやっている3つの仕事。

2. 「日本仕事百貨」のホームページ。

3. 「日本仕事百貨」で取材した人たち。

4. 編集から印刷、流通まで手掛けて出版した本。

5. リトルトーキョーで行っているセミナー風景。

<竹内千寿恵さんの仕事>
1. 家族と暮らす、このまちで仕事をしたいのに、働きたいと思える仕事がない。ならばつくればいいじゃないかと、10年前、小学校のPTAで知り合った友だちとつくったのがMystyle@こだいら。

2. 商店街の中につくった拠点「ハタラボ」では、セミナーや相談会、バーなどを開催。

3. 小平未来会議でのワークショップ。

4. 農業用ハウスを会場にしたセミナーも。

5. 映像を活用した地域の魅力発見シンポジウム。

*1 中間支援
行政や企業、市民など、地域の中の多様なセクターの間に立ち、コーディネート、ネットワークづくり、人材育成、情報提供、相談などの間接的活動を通じて、人々のさまざまな活動を支援する組織。

*2 神山塾の大南さん
http://shigoto100.com/2014/12/kamiyamajyuku-3.html

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