ののわ

東京のまん中にあるライフスタイルを考える

地域の魅力を共有し、
暮らし方や働き方を見つめ直すことで、
この地域ならではのライフスタイルを探っていきます。

記事詳細

建築を勉強し、今はグラフィックを中心にデザインをしている三星安澄さんと、グラフィックを学んで、今は空間に関わる仕事が多い廣村正彰さん。年代や立場は違ってもデザインへの思いは熱く、「まちづくりとデザインはむずかしい」と言いながらも、対談はテンポよく進みました。 (廣村正彰さん(左)と三星安澄さん。国分寺にあるギャラリー「丘の上APT」にて撮影)

ののわトークセッション

第6回ののわトークセッション公開対談『まちとデザイン』

今、「リアル」が
求められている

廣村 まちづくりとデザインはなかなか思うようにいかないと僕は思っています。丸ノ内にできる新しいビルの仕事を頼まれた時に、風や雨にあたらない地下ばかりを通る人に何とか地上に出てもらい人間味を取り戻そうと、「赤提灯の飲み屋のある路地をつくろう」と計画しました。まちづくりには、いわゆるデザインとは違うベクトルが働くように思います。

三星 西荻紙店をやっていて、まさにその通りだと思います。人と人を結びつけるのは、やはり赤提灯の世界です。西荻では年2回、「西荻茶散歩」*1というイベントをやっています。これは西荻にある店が行うもので、無料でお茶が飲めたり特典があったりするだけなのですが、年々たくさんの人が集まるようになりました。上のほうから言われて「人を呼ぶ」のではなく、店や友だちのモチベーションだけで広がっている試みです。

廣村 すばらしい! そこで暮らしている人たちが自発的に行うのが一番ですね。

世はまさにインターネットの時代ですが、若い世代には「自分でものをつくって、自分で売りたい」という人が増えてきています。それはコミュニケーションにつながり、アンデジタル、ハイタッチのよさが表れています。物心ついた頃からパソコンがあった世代は、紙や印刷というアナログ的なものに興味があるようです。

三星 活版印刷が若い人たちに人気なのですが、デジタルでペーパーレスの世代は全く知らない世界なので純粋に興味を持ち、おもしろいと思うのでしょうね。

廣村 たぶん「リアル」が大切なのでしょう。視覚だけでなく、匂いとか手に触れた時の感触とか動物的感覚が大切なのだと思います。自分でつくったものを自分で売れば、リアルに売れていくことに至福の喜びを感じるのではないかな。

これまでのグラフィックデザインは、責任のないデザインでした。デザインを納めてしまえば、それで売れようが売れまいが、デザイナーは関係ない。そういうものでした。でも、若い世代はもっとリアルに受け止めたいのだと思います。

廣村正彰(ひろむら まさあき)
アートディレクター。1954年、愛知県生まれ。田中一光デザイン室を経て、88年に廣村デザイン事務所設立。岩出山中学校サイン計画、日本科学未来館CI、サイン計画、東京ステーションギャラリーVI計画など多くのCI、VI、サイン計画を手がけている。「nonowa」のロゴもデザインした。
http://www.hiromuradesign.com

高架下を
子どもたちの記憶の風景に

廣村 僕が「nonowa」のサインを依頼された時に、JRが高架になることに合わせて高架下を新たなコミュニケーションの場にしたい、これまであまり有効に使われていなかった高架下の利用をまちづくりまで広げて考えたいと言われました。

そうやって高架下を見ると、案外日陰なのだなと気がつきました。それまで北と南に分断されていた駅周辺がひとつになる。自動車に依存した社会の限界が見えて鉄道が再認識されるようになってきたので、駅中心のまちづくりを考える必要がある。そこにデザインがどう関われるか、を考えました。

三星 僕の高架下のイメージは、西荻から吉祥寺まで歩ける道のイメージで、時には高い建物に囲まれて風通しがよくなかったりします。単に高架下だけでなく、その周囲まですてきな場所になると、まちの人も行きたくなりますよね。

廣村 そうです。高架下って日陰のようなイメージだけど、これを日向にしていかなくちゃいけない。

この間、六本木で安心安全憲章をつくろうと、そのマークを子どもたちから募集したのです。そうしたら六本木交差点の絵を描く子が多くて、交差点上の高速道路までしっかり描いている。そうか、大人は見ないようにしているけど、子どもたちには高速道路下の交差点はいつもの風景なのだと思いました。

同じようにののわエリアに育った子どもたちが、記憶の風景として高架下の絵を描けるのだろうか。まちの一部になろうとしている高架下をもっと魅力的にする。それには周辺の住民と一緒に考えてつくり、何年もかけて育てていかなければいけない。とても時間のかかることなんですけどね。

(構成・文:中野照子)

三星安澄(みつぼし あずみ)
デザイナー。1980年生まれ、国立育ち。早稲田大学工学部建築学科卒。在学中より野老朝雄氏に師事し、卒業と同時に独立。ロゴ、エディトリアル、パッケージ、サイン、ペーパープロダクトなど、グラフィックを通じてデザイン活動を行う。福永紙工とともにおもしろい紙製品づくりを模索するプロジェクト「かみの工作所」、および「西荻紙店」のデザインディレクター。
http://www.mitzboshi.com/

「nonowa」のロゴの由来
武蔵野の「土」の上に育つ「緑」、流れる豊かな「水」の3原色を基本に、さまざまな「わ」がつながり重なるイメージをハート形で表現している

*1 西荻茶散歩
2008年から毎年初夏に行われているイベントで、物販店、飲食店、ギャラリー、美容室など西荻のさまざまな店が参加。
2014年には参加店が100店を超えた。各店の位置とサービス内容を示すMAPを持って、目印のやかんマークを探して歩く「まち散歩」。

一覧に戻る

ページトップに戻る

nonowa

みんなの「ののわ」

みんなの「ののわ」

二カ月に一度、「オトナリatたちかわ」の楽しみ方

立川の子ども未来センターの芝生広場で、偶数月の第一…

詳細はコチラ >

みんなの「ののわ」

みんなの「ののわ」

スープ・カフェ「なんでもない日」~温かな思いをスープに込めて~

立川市にある根川緑道は小川の清流に沿って続く約1、3…

詳細はコチラ >

JR東日本:東日本旅客鉄道株式会社
Suicle(スイクル)
駅から歩くウォークラリー「えきぽ」