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~映画で街の活性化を目指す~
「第5回三鷹コミュニティシネマ映画祭」を開催

 三鷹は駅前に映画ファンが集まる街だった。小津安二郎、フェデリコ・フェリーニ、ウディ・アレン、エリック・ロメール、アンドレイ・タルコフスキー、イングマール・ベルイマン。三鷹駅南口の現在コラルが建つ地には、かつて世界のさまざまな国の監督作品が上映される映画館「三鷹オスカー」があった。1977年に新作を上映する封切館から旧作映画三本立ての名画座に生まれ変わり、1990年に閉館するまでの間、ここで観客がそれぞれの“特別な”映画に出会い、映画愛を育んでいった。そして今秋の3日間、三鷹は再び「映画に沸く街」になる。11月22日(土)から24日(月・祝)まで開催される「第5回三鷹コミュニティシネマ映画祭」について、主催する株式会社まちづくり三鷹 経営事業部施設整備グループ スタッフリーダーの羽石雅子さんにお話を伺った。

三鷹で映画を!の思いが結集

 株式会社まちづくり三鷹は、三鷹駅前を中心とした中心市街地活性化と“まちづくり”を総合的にプロデュースする目的で設立された三鷹市が出資する第三セクターだ。「三鷹の街を盛り上げるにはどうすれば良いか」。そこで出た答えの一つが「映画」だった。駅前に映画館があれば、人が集まり、街も活気づく。このアイディアに共感した市民は有志で「三鷹コミュニティシネマを夢見る会」を発足。「映画を通じて地域を元気にしたい」「三鷹で映画をもっと気軽に観たい」この二つの思いが結びついた。

 映画上映会の企画のために調査を進めると、「三鷹オスカー」の経営者のご子息が映画監督として活躍されている鶴田法男さんで、映画館のプログラム編成を担当していたのが兄の鶴田浩司さんであることが判明した。早速コンタクトを取り、2人に協力を依頼。2010年3月に、「三鷹オスカー 一日だけ、復活! !」を開催した。三鷹オスカーらしい、1950年代後半から60年代前半に製作されたフランス“フィルム・ノワール”の傑作『地下室のメロディー』『いとこ同志』『死刑台のエレベーター』を三本立てで上映し、当日は多くの映画ファンが駆けつけた。

 この上映会の成功に続き、2010年11月に「第1回 三鷹コミュニティシネマ映画祭」を開催。パイプ椅子、そして後方に丸テーブルを並べた会場では、市内の商店が販売するおにぎりや生ビールなどを飲んだり食べたりしながら、子供から大人まで古今東西の上質な映画を楽しむ。そんな温かいアットホームな映画祭は、今年5回目を迎える。

35mmフィルム上映にこだわる「フィルムフェスティバル」

 同映画祭の大きな特徴の一つが35mm映写機による上映だ。

 映画誕生から約120年、劇場用の上映素材は主にフィルムだった。しかし、トーキー化、カラー化に次ぐ映画の「第三の革命」ともいわれるデジタル化の波は2000年以降広がり、編集やカメラなどの製作の場だけでなく、映画館においても急速に進展した。これまでは、配給会社が映画館に配送した35mmフィルムなどを映写機で上映していたが、近年、配給元がサーバーから配信した映像・音声・字幕などの情報を含むデジタルデータ「DCP(Digital Cinema Package)」を映画館が受信し、プロジェクターで上映する方式が主流となった。2013年12月末現在、全国3,318あるスクリーンの95.6%がデジタル化し*1、フィルム映写機は映画館から姿を消した。

 アメリカの大手映画会社であるパラマウント・ピクチャーズは、一部の作品を除き、アメリカ国内においてフィルムでの映画配給を終了することを発表*2。また、1934年の創業時から映画フィルムを製造・販売してきた富士フイルム株式会社は、保存用のアーカイブフィルムを除く撮影用と上映用映画フィルムの生産を中止した。英語で「映画祭」の意を持つ「film festival(フィルムフェスティバル)」においても、フィルム映写機を使って上映する映画は少ないのが現状だ。

 しかし、「フィルム」の持つ独特の質感や色合い、味わい深さを愛する映画ファンは多い。三鷹コミュニティシネマ映画祭でも、一貫してフィルム上映にこだわり続けてきた。昨年3月には中古の35mmフィルム映写機を購入。映画祭では、実行委員会メンバーでもある映写技師が中心となり、映写機を回している。今年も2作品以外はすべて35mmフィルム上映を行う。建物や設備の老朽化や集客率の低下などにより名画座の閉館も相次ぎ、往年の名作をフィルムで堪能する機会が少なくなってきた現在、貴重な「フィルムフェスティバル」なのだ。

親子三代楽しめる充実したプログラム

 映画祭のプログラミングにも特徴がある。三鷹にゆかりのある映画を特集する「三鷹の映画人」もその一つだ。第2回の映画祭開催時に、「押井守監督特集」を企画。『機動警察パトレイバー 劇場版』と『攻殻機動隊』の35mmフィルムを、三鷹駅前にあるこれら映画の製作・配給会社(住所は武蔵野市)である「Production I.G」に借りて上映した。押井守監督も来場し、会場は満席となった。その翌年は、鶴田法男監督特集で『おろち』『リング0 ~バースディ』を上映。脚本家の高橋洋さん、出演者の雅子さんと伴大介さん、小川真司プロデューサー、編集の須永弘志さんが登壇した。昨年は、「三鷹の映画人Vol.2」として、三鷹第四中学校、三鷹高校を卒業した金子修介監督、そして女優の佐伯日菜子さんをゲストに迎えた。今年は、10代を三鷹で過ごした女優の渡辺真起子さんを特集する。カンヌ国際映画祭、ロカルノ国際映画祭など世界の映画祭で高い評価を受ける作品に出演し、第55回アジア太平洋映画祭最優秀助演女優賞を受賞した彼女の代表作ともいえる『愛の予感』『チチを撮りに』を上映し、本人のトークショーも予定している。

 他にも、高畑勲監督や宮崎駿監督が所属した時代の東映アニメ作品を500円で鑑賞できる「午前十時半のワンコイン映画祭/傑作アニメーション特集」では、『西遊記』『太陽の王子 ホルスの大冒険』『長靴をはいた猫』、「三鷹オスカー 一日だけ復活!! 第6弾」では、今年で35mm上映の版権が切れるマルセル・カルネ監督の不朽の名作『天井桟敷の人々』の上映を行う。

 さらに、今年の目玉の一つが『火垂るの墓』と『かぐや姫の物語』をラインアップした「高畑勲監督特集」だ。上映後は高畑監督によるトークショーも行う。前売り券発売後1週間でチケットがほぼ完売になるなど話題の企画だ。

定期的な上映会の開催を実現したい

 「三鷹コミュニティシネマ映画祭」は、一年に一回の「祭り」だけでは終わらない。同映画祭で知り合った映画祭実行委員会が有志で作った「三鷹シネマ倶楽部」では、三鷹を中心に映画祭以外のイベントや映画に関わるさまざまな活動を行っている。好評なのが、映画館に行き、鑑賞後の飲み会で映画について語る「映画遠足」。現在、フェイスブックのグループではメンバーが200人を超えており、一年中、映画の灯を点し続けている。

 「映画祭に訪れた方の幸せそうな顔を見るのがうれしい。これからも、より多くの方に、街に出掛けて大勢の人と一つの空間で映画を観る楽しみを味わって欲しい。そのために、映画祭だけでなく、定期的に35mmフィルムで名画を上映できる体制を作り、街の活性化に役立てれば」と語る羽石さん。

 三鷹がかつてのように、映画ファンの集まる街になる日を望まずにはいられない。

*1  日本映画製作者連盟「全国スクリーン数」(2013年12月末現在):
http://www.eiren.org/toukei/screen.html
*2  Los Angeles Times「Paramount Pictures to make some exceptions to all-digital policy」:
http://www.latimes.com/entertainment/envelope/cotown/la-et-ct-paramount-pictures-digital-20140128-story.html#ixzz2rqrxS18C

(編集/テキスト 西田佐保子、写真提供/株式会社まちづくり三鷹)

【information】

「第5回三鷹コミュニティシネマ映画祭」
映画祭会場=三鷹産業プラザ7階特設会場(三鷹市下連雀3-38-4)
お問い合わせ=株式会社まちづくり三鷹 映画祭担当
電話=0422-40-9669/FAX=0422-40-9750
Mail=info@cinema.mall.mitaka.ne.jp
※当日券は、会場の三鷹産業プラザ7Fで販売。ただし、11月23日(日)の高畑勲監督特集の当日券の販売はありません。 http://cinema.mall.mitaka.ne.jp/
https://www.facebook.com/mitakaccfes

「三鷹シネマ倶楽部」
https://www.facebook.com/groups/518514131506693

西田佐保子(地域ライター)
食の秋、芸術の秋を満喫中です。

<気になるコト>
NEIGHBORS BRUNCH with パンとエスプレッソと

※2014年11月20日現在の情報となります。

今年も充実のラインアップ。詳細はウェブサイトで
http://cinema.mall.mitaka.ne.jp/

今年は高畑勲監督と渡辺真起子さんが来場(写真左・高畑勲監督、写真右・渡辺真起子さん)

昨年購入した映写機。休憩時間などに映写機の周りに人だかりができるという

アットホームな雰囲気の会場

第2回に行われた押井守監督トークショーは大盛況

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