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たいやきやゆいのかき氷

 国立で屋台を引いて自家製のたい焼きを販売する「たいやきやゆい」をネットで知ったのは数年前のことで、曜日ごとに販売場所が変わる為に国立の随所でゆいさんのたい焼きを購入して来た。小豆と小麦粉と甜菜(てんさい)糖と重層と塩のみで作られたシンプルなたい焼きは特に焼き立てが最高で、大人も子供も購入してすぐにその場で食べてしまう人が多い。

 同じ頃、有機野菜の店「あひるの家」にて「mimosa」(ミモザ)の焼き菓子を見付けて、その美味しさの虜になった。「たいやきやゆい」の屋台に「mimosa」の焼き菓子が並ぶようになって間もなく、お二人はご夫婦になられた。結婚後、ゆいさんは引き続き屋台を引いてたい焼きを売り歩き、奥様は同じ市内で「パンとお菓子mimosa」を経営するようになった。

 夏場になると、お二人はたい焼きとパンを焼く手をひとまず止めて、「パンとお菓子mimosa」(ミモザ)の店頭に「たいやきやゆいのかき氷」の看板を掲げて、自家製のかき氷作りに全精力を傾ける。

 週末にはお店の外にまでかき氷を求めるお客様が列を成すという人気店の秘策をお聞きすべく、小雨まじりの平日にお店にお伺いした。

手作りの美味しいかき氷を求めて

 午前11時の開店と同時にお店に入って来られたのは福岡の中学校時代の元同級生というご婦人4人組で、一番遠方の方は神奈川県藤沢市からお越しになったという。4人で別々のかき氷を注文されてお互いに味見をしあっている様子が実に楽しそうで、女学生時代の彼女たちの姿を彷彿とさせた。続けて入って来られたのは「この1か月間でゆいさんへの訪問は4度目です。」とおっしゃる常連のご婦人。敢えて“いちごミルク”を頼まずに、“いちご”に追加のミルクを頼んで「前半は果物だけの美味しさを楽しんで、後半はいちごとミルクのコラボレーションを楽しんでいます。」といかにも通いなれた風だった。お客様にお出ししている“ミルク”は、通常のかき氷屋さんのように練乳のみではなく、そこに牛乳を足すことによって舌に“重すぎない、甘すぎない”風味を心掛けているという。さらに「かき氷屋さんで知り合って仲良くなりました。」という若い女性の二人連れは、5~6種類のかき氷を次々と頼んで二人で仲良く分け合っていた。

美味しいかき氷の決め手は美味しい氷の調達から

 ゆいさんは毎朝の開店前に、その日に使用する分の氷をお隣の立川市羽衣町にある「(有)福島氷室」さんまで買いに行く。数ある氷専門店の中からこちらのお店に決められた理由を尋ねると「お店の人の人柄がすごく良かったからです。」と即答される。もちろん「氷の状態が良く、氷がしっかりと管理されている。」のも大切な理由だ。

 買ってきた氷は冷凍庫の中には入れずに、閉店時まで発泡スチロールの中に保存しておく。こうしておくと氷の温度が程よくなって、口溶けが良くなるという。時間をかけてゆっくりと固められた“密度が高い”氷はシロップの通りが良くなって、きちんとガラス容器の底にまで浸透するという。さらにゆいさんは、かき氷のシロップを上・中・下の3回に分けてかける為に、最初の一口から最後の一口まで変わらぬ美味しさを存分に味わえるのも嬉しい。発泡スチロールの中で常温のままで保存されて、丁寧に削られた氷は口に入れた途端に優しく溶けてしまうので頭が痛くなる心配もない。

シロップのいちごを摘みに栃木まで

 かき氷の氷へのこだわりについて述べたところで、全てが自家製というシロップについても言及しておきたい。かき氷のシロップのレシピはおよそ30種類ほどあるが、毎日、お店で提供しているものは約20種類弱だという。

 色の変色を防ぐために注文を受けてから作る“バナナ”以外のシロップは、午後6時の閉店後に真夜中までかかって手作りされているという。「キャラメル」のシロップはミモザさんが作り、その他のシロップを「たいやきやゆい」さんが作っておられるという。特に手間がかかるのはレモンなどの柑橘類で、一つ一つの薄皮を向いて種を取り除いてから甜菜(てんさい)糖と水を使って煮込んでいるそうだ。

 特筆すべきなのはシロップに使っているいちごを、ゆいさん自ら、栃木県真岡市まで3回に分けて“手摘み”に行っているという。

 「小さなお子様にも安心して召し上がって頂けるように」という配慮から、シロップに使う果物などの食材はなるべく“国産”や“低農薬”などオーガニックのものを仕入れるようにしているという。さらにかき氷と一緒にお出ししているほうじ茶は福岡産の完全無農薬のもの、“きな粉あずき”や“抹茶あずき”に使っている小豆は、たい焼きのアンコと同じ原料で北海道産のものだという。

お客様に「美味しい」と喜んで頂けることが最大の喜び

 小学生の頃から料理を作っては、家族が「美味しい!」と喜んでくれる様子を何よりも楽しみにしていたという、ゆいさんのスタンスは大人になった今でも変わらない。

 「お客様に手作りの美味しいものを提供して喜んで頂くのは最大の喜びです。」と笑顔で語るゆいさんは、かき氷を削る際にも電動の機械ではなく、手廻し式の手動の機械を使って丁寧に氷を削る。

 カウンターやテーブル席で隣り合った同士が自然と仲良くなって笑顔で語り合ってしまう居心地の良さも「たいやきやゆいのかき氷」の魅力の一つなので、一人で出かけて行ってもいいし、友人や家族と連れだって行っていくつかの味を楽しむのも悪くない。

(編集/テキスト 伊藤万里、 撮影/松井信雄)

【 information 】

「たいやきやゆいのかき氷」
期間:6月8日~10月上旬まで(2014年)
OPEN:11:00~18:00
定休日:火曜日
住所:国立市西2-19-12ヘリオス国立1-B
電話:042-505-6210
HP:http://taiyakiyayui.jugem.jp/

伊藤万里(地域ライター)
普通の暮らしの中にこそ、多くの感動があります。
日々、地域に根付いた美味しいもの、素敵な人たちとの出逢いを求めて、散策しています。
好奇心の強さとフットワークの軽さが売りのライターです。

<気になるコト>
人が好き、小旅行、カフェ巡り、自然の中を自分の足で歩く、読書

※2014年7月25日現在の情報となります。

暑い日には“柑橘系”やスモモなどの“さっぱり系”がよく出るという。

涼しい日には“あずき系”が人気があるという。

その美しい色合いが印象的な「メロンミルク」。

香ばしいきな粉と小豆との相性が抜群の「きな粉と小豆」。

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