ののわ

地域のみんなで探す 伝えたい"ののわ"

地域の人がライターとなり、自分のコトバで、
この地域の魅力を「発見」「発掘」「発信」していきます。

記事詳細

都市農業に型はない
~時代を読み、人の求める先をゆく~
佐藤英明さん

梨さとう園との“おいしい”出会い

 昭和初期に開園した「梨さとう園」には、代々受け継がれてきた梨の樹が、いまも地域にしっかりと根づいている。2700㎡の同園には、現在、稀少な“秀玉”をはじめ10数種の梨が育つ。梨のほか、りんごや野菜の栽培も行っている。霜降りで甘く育ったネギ「あじぱわー」やブロッコリーは甘みがのって絶品だ。実が白いトウモロコシ「雪味甘(ゆきみかん)ちゃん」やカリフラワーの仲間「ロマネスコ」など珍しい野菜にも出会えて楽しい。人々に人気のものを育てているという。

 私が佐藤英明さんと出会ったのは5年前。おいしい梨が谷保にあると人づてに聞き、訪ねたのがはじまりだ。一口ほおばった瞬間からもう味の虜。ジューシーさと甘さに感動した。そのおいしさはクチコミで広まり、今では人気の品種は予約完売してしまうほど。同園の梨は、ののわ創刊号に登場した「くにたち野菜 しゅんかしゅんか」にも並んでいる(※今年も入荷予定とのこと)。2年前、いつものように野菜を見に「くにたち野菜 しゅんかしゅんか」を訪れた私は、陳列された佐藤さんの梨に思わぬ再会をした。地域の輪を感じるうれしい瞬間だった。

農家をしていて一番うれしいのは、
お客さまが喜んでくれたとき

 「お客さまとのコミュニケーションを大切にし、安心して買っていただけるよう心がけている」と話す佐藤さん。手をかけるほどおいしくなると、土づくりから徹底的にこだわる。できるだけ化学肥料を使わず、藁や魚粕などの有機物質の肥料を使用する。言葉を話さない梨だから、つぶさに観察が必要。状態を把握し、その樹・その梨に合わせた肥料の調整や、枝の剪定を行うという。根気のいる作業の連続だ。そんな手のかかる工程を「子どもを育てるのと同じですよ」と、淡々と語る姿が格好いい。

自分にしかできないことをしたい

 佐藤さんのモットーは “常に変化”。「都市農業をリードする存在になりたい」と語る。消費者と距離が近い都市の農業だからこそできることをしていきたいと、農業体験、加工品開発、市民参加活動と日々奔走する。取材で訪れた日、園内では“くにたち・梨園ボランティア”の人たちがせっせと花の受粉を行っていた。

 「きっかけさえあれば農業に参加して応援したい、と考える人は多い」と佐藤さん。この梨園ボランティアの活動は、農業をサポートしたいとの思いから、市民が自発的に立ち上げたもの。地域の人と交流することで、世の中のニーズを捉えたり、新たなアイディアをもらったりするという。今一番力を入れていることは加工品開発。野菜やくだものを身近に感じ、おもしろいと感じてくれたら、という思いからだ。

 霜にあたった旬のほうれん草を一年中、気軽に利用できる方法はないかと考えた佐藤さんは、粉末加工に取り組んだ。しかし、引き受ける会社がなかなか見つからず、やっと山形県の会社を探しあてたという。プロのこだわりが感じられる。国立の老舗洋菓子店『白十字』が企画した「ほうれん草カステラ」*1や、国立市の企業(AKプラス)とコラボレーションした「薬膳カレー」にもこの粉末が使われている。地域企業と組み、地元の素材を使うことで、地域の人に自分の住む地域に関心を持ってもらうことが狙いという。同じく地域企業と協力してつくったほうれん草入りのナンや梨ゼリーは市内の給食で提供され、子どもたちから絶大な支持を得ているそう。んん~私も味わいたいっ。

 いつ休むの?と首をかしげたくなるくらい多忙な佐藤さん。それなのに梨園を歩き、見回る姿はエネルギーに満ちていた。何事にも真摯に取り組み、未来のよりよい地域社会づくりまで考えていらっしゃる。本当に尊敬してしまう。おいしく育った梨は秋、全国へと旅立つ。給食のナンや梨ゼリーは難しいけれど、佐藤さんが手がけた加工品は、市内いくつかのお店で買うことができます。是非、あなたもお試しあれ。

*1 「ほうれん草カステラ」は『白十字』、ほうれん草うどんやジャムは『くにたち野菜 しゅんかしゅんか』、『とれたの』で購入可能。

文:佐藤史佳(地域ライター)
音楽を愛する野菜ソムリエ。ののわエリアの美味しい味覚を広めたい、と日々料理を研究中。

写真:大野智嗣(地域ライター)
三鷹市にある写真館、フォトスタジオソラ代表。出張撮影を主とするため、より地域に密着した写真を求めてののわに参加。

※2014年5月20日現在の情報となります。

「梨さとう園」園主、佐藤英明さん。梨の収穫は8月中旬から(地方発送可)。梨さとう園=042-576-1177

くにたち・梨園ボランティア(http://www13.plala.or.jp/knv/)の人たちによる受粉作業。昨年(平成25年)は、年間455名もの人が参加し作業を行った

何事にもとことんこだわる佐藤さん。農業の可能性に常にチャレンジしている

旬のフルーツを使ったジャム。これはキウイ。ほかに梅、梨、りんごがある。

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