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記事詳細

世代間交流を行う高齢者支援ハウス
「テンミリオンハウス 花時計」

介護保険対象外でもデイサービスを利用できるように

武蔵野市には、地域での見守りや社会とのつながりが必要な方々の生活を総合的に支援する「テンミリオンハウス」という施設があります。デイサービスやショートステイなど共助の取り組みを行う地域住民による有志団体や特定非営利法人(NPO)に市が年間1000万円(テンミリオン)を上限とする補助を行う事業から生まれたもので、現在は7ヵ所の高齢者支援ハウスと、1ヵ所の子育て支援ハウスが展開されています。

事業がスタートしたきっかけは2000年から開始された介護保険制度。市のデイサービス利用者の2~3割が保険の対象外となるため、対象外となる人達にも同様のサービスを提供したいという思いがテンミリオンハウスという形で実現しました。

キーワードは「近・小・軽」。「近所に施設があれば、気軽に利用できて家族とのつながりが保てます」「小さな施設なら、サービスや施設管理も市民感覚で運営できます」「軽快なフットワークで、様々なサービスを柔軟に提供していきます」という考えが事業の柱となっています。このような事業は全国的にみても類がなく、市外から視察に来る人もいるそうです。

高齢者支援ハウスは市内在住の自己通所可能な65歳以上の人が利用でき、喫茶やイベント等は地域の人なら誰でも利用できます。子育て支援ハウスは就学前の子どもを持つ人や妊娠中の人が利用可能。施設の多くは市民から提供・寄贈された建物等を利用し、一般の住宅に手を加えたものがほとんどで、施設に行くというよりは誰かのおうちにちょっと遊びに行く感覚で気軽に立ち寄れるのが特徴です。

「世代を越えた結びつきを大切にしたい」と
主婦たちが運営

7つある高齢者支援ハウスのなかでも、2005年にオープンした「花時計」は高齢者向けのミニデイサービス、乳幼児親子向けの遊び場、喫茶スペース、児童向けの伝統文化継承講座(登録制)を柱にした、世代間交流型のハウスとして高い人気があります。

運営するのは任意団体の「ゆう3」(ゆうスリー)。「ゆう3」は「優しさと遊び心を持って世代を越えた結びつきを大切にしていこう」(優、遊、結)と作られたグループで、メンバーは今から約20年前に地元の境南小学校PTAで出会った主婦たち。当時から朗読会や料理教室などさまざまな活動をしていたといいます。

「自分たちの子どもが卒業してPTAの活動が終わっても、皆またいずれ地域で何かしたいという志があって、市の認知症の勉強会に出かけたり、ヘルパーの資格を取ったりそれぞれ学んでいました。そんな中で、テンミリオンハウスの話を知って、私たちでお手伝いできたらと手を挙げたんです」(施設長・石嶋和子さん)。

とはいっても、初めてのことばかりで提案書を作るのもひと苦労。何度も皆で集まって話し合いを重ねました。そして自分たちが運営すると決定したら、住居として使われていた一軒家の建物を運営内容に沿って改修するために詰める作業があり、花時計がオープンするまではてんやわんやであっという間だったそう。「大変でした。でも、目標に向かって皆で一致団結してあれこれ考える時間は楽しく、やりがいがありました」(副代表・久守江美子さん)。

高齢者が児童に文化を教え、
大学生らが地域の人に芸術を披露

「花時計」の利用登録をしているのは、高齢者が213人、乳幼児219人、児童26人、65歳以下の人が42人(2012年12月の時点)。スタッフは11人で、そのうち5人がローテーション制で調理、乳幼児、児童、高齢者を担当しています。

高齢者向けのミニデイサービスは高齢者有志による講座を毎日行っており、健康麻雀、体操、歌、朗読、絵手紙、英語、手芸など多種多彩。利用者に講師を依頼することもあれば、講師が利用者になることも。利用者と講師が同世代なので和気あいあい、楽しい時間を過ごしているそうです。「講師の方々は皆さんボランティア。地域の皆さんの協力なくしてはなりたたないので感謝しています」(石嶋さん)。

世代間交流としては、児童向けの伝統文化継承講座(箏曲、茶道、手芸)や月2回のイベントを実施。講座では高齢者が児童に世代を越えて伝えたい文化や遊びを教えたり、イベントでは大学生が高齢者に演奏を聴いてもらったり。終始笑顔がたえず、お互いが元気をもらっているように見えます。「なかなか遠くへ出かけられないから近くで色々やってくれるのがありがたいという声をいただきます。高齢者の方々が、地域の人と知り合って明るくなっていく姿を見るのがスタッフの喜びです」(久守さん)。

「講座やイベントで世代間の交流を行っていますが、イベントを依頼した方々と話をすることで私も普段出会えない世代と交流できるので楽しいです」(スタッフ・水上美智子さん)。

地域と関われることに幸せを感じてほしい

乳幼児親子の利用には2階の部屋を開放。木のおもちゃやおままごとセットなど遊び道具を用意しています。乳幼児同士はもちろんママ同士も仲良くなって、親子の遊ぶ声が1階の高齢者が集う部屋に聞こえてくることも。「高齢者の方々は子ども達の笑い声を聞くと元気になる。ぱあっと明るくなるんです。私たちも、乳幼児ママさんと時間を共有することで教わることも多く、励みになっています」(スタッフ・川村敦子さん)。「今の時代のパパは帰りが遅いので、子どもと2人だけで過ごす時間が長いママはストレスがたまってしまう。育児や姑問題を相談されるとうれしいし、頼られているという気持ちがこちらのやりがいにもなります。ここで息抜きをして、『楽しかった』と元気に帰っていくのが何よりです」(スタッフ・郡司良子さん)。

「花時計」では昼食も利用者の楽しみのひとつ。旬の素材を使って「おいしい、やさしい、ヘルシー」をモットーにしたメニューはすべて手作りで、ワンコイン(500円)とは思えない内容が自慢。たとえば、ある日のメニューは魚の味噌照り焼き、青菜のきんぴら煮、かぼちゃとベーコンのサラダ、ごはん、汁物、漬物、フルーツ。毎回ボリュームたっぷりです。喫茶のケーキも手作りで、これを目当てにやって来る利用者も多いのだとか。

「遊びや食事に来ていたママさんで、子育てが落ち着いてから『花時計を手伝いたい』と言ってくれた人がいてとてもうれしかった。私たちの子どもが小学生の頃は地域の行事に参加したり、地域の皆さんの目に守られながら育ってきたので、子ども達が大きくなった後で地域と関わって生きていけることに幸せを感じています。今、ここに来ているママさん達にもそんな風に感じてもらえたら。あとは、いつかここで過ごした子ども達が高校生や大学生になって『花時計でボランティアをしたい』と手を挙げてくれて、さらに大人になったら『スタッフとして関わりたい』と言ってくれたら、こんなにうれしいことはありません」(石嶋さん)。

(編集/テキスト 地域ライター 石川 理麻)

【 information 】

テンミリオンハウス花時計
〒180-0023 東京都武蔵野市境南町2-25-3
問い合わせ / 0422-32-8323
アクセス / JR武蔵境駅 徒歩10分
http://www.city.musashino.lg.jp
※利用対象、料金等は武蔵野市役所のホームページでご確認ください

テンミリオンハウス花時計

左から川村敦子さん、施設長・石嶋和子さん、水上美智子さん。看板の「花時計」の文字は利用者さんが作った折り鶴でできています

体操講座の様子

講座の体操で楽しく体を動かします

乳幼児の遊び部屋「るーぷる」

乳幼児の遊び部屋「るーぷる」。授乳スペースがあり冷暖房も完備(冬は床暖房)しているので快適

赤ちゃんとおばあちゃんが一緒に

絵手紙講座をしている高齢者の後ろで乳幼児親子が談笑中。赤ちゃんとおばあちゃんの笑い声が交互に響きます

伝統文化継承講座の様子

児童向けの伝統文化継承講座。茶道を習う小学生の女の子たち

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