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「こんな場所があるよ」と教えたくなる
『お店の人とのふれあいが楽しめる、小金井の「丸田ストアー」』

お店の人とのやりとりを楽しめる対面販売

今から約30~40年前は近所付き合いが多く、ちょっと顔を見かけると「元気?」「風邪の具合はどう?」と声をかけ合ったり、馴染みの人にバッタリ出会うと立ち話をしたり。人と人との交流がごく自然に存在し、お隣さんとの垣根がない時代だったといわれています。

小金井に、そんなふれあいが今なお残る場所があります。武蔵小金井駅南口から小金井街道をまっすぐ南に歩いて約25分。住宅街の一角にある丸田ストアーです。

正面に立つと、昭和40年代のオープン当時とほとんど変わっていないであろう佇まい。昭和の雰囲気が漂う昔ながらの市場、といった感じでしょうか。ストアー内にあるのは鮮魚・精肉・惣菜・野菜・乾物のお店とカフェ。以前は同じようなストアーが周辺にいくつかありましたが、今はここだけだそうです。

最近はコミュニケーションを取らなくても、「商品を見る」→「かごに入れる」という過程で買い物を済ませるスーパーやコンビニが定着していますが、丸田ストアーは昔ながらの対面販売。お店の人とのやりとりを楽しみながら買い物ができます。

子どもから大人まで、やって来るお客さんは顔馴染みが多く、買い物をした親子が他のお店に手を振りながら帰るのもよくある光景。いい意味でお店もお客さんもマイペースで、目が合えばさりげなく声をかけ合ったり、手を振り合ったり。お店同士で楽しそうに立ち話をしている姿も見かけます。

お客さんの名前も好みも覚えています

「開店当初に子どもの手を引いて買い物に来ていたお客さんにお孫さんができて、3代で利用してくださるご家族もいるんですよ」と話すのは45年間ここで魚屋と乾物を営む高齊さんご夫婦の奥さん。ストアーのまとめ役です。

カフェ「tiny little hideout SPOONFUL(スプンフル)」で働く眞嶋さん・佐々木さん姉妹を見つめながら「あの2人の実家はすぐそこにあって、2人のおばあちゃんがよく買い物に来てくださって、可愛がっていただいたのよ」としみじみ。事情があって魚屋さんを一時期閉めていた高齊さんご夫婦ですが、なんとお客さんから「また魚屋さんを復活してほしい」と電話や手紙でラブコールをされ、2年前にスプンフルが開業したのと同時期にストアーに復活。「子どもの頃から知っている2人と同次時期にお店を再開することになるなんてねぇ」と笑います。

対面販売のお店のいいところは、何がおすすめなのか、どんな料理にすればいいかを気軽に聞けるところ。奥さんの頭の中にはお客さんの名前や好みが入っており、誰が何を買ったのかまで覚えているとのこと。魚のさばき方や調理法も教えてくれるし、希望すればわたもとる。そう、個人個人に合わせた接客です。

なかには「釣ってきた魚をさばいてよ」とお願いをする人や奥さんと話すためだけにストアーにやってくる人もいるそうで、お店とお客さんの距離の近さがわかります。「ここに来るお客さんはいい人達ばかりだから。皆さんに支えられているんだな、っていつも感じています。本当にありがたいことです」。

「ひとつの場所で全部揃えたい」。要望に応えて惣菜屋が八百屋に!?

お惣菜を販売している山口さんご夫婦は約10年前に出店。調理を主に担当するのは奥さんで、店頭にはきんぴら、切干大根、五目ひじきなど、野菜をたっぷり使った素朴なおふくろの味が約20種類並びます。買いに来るのは近所の主婦や一人暮らしのお年寄りで、「今度、こんなのを食べたいなぁ」とメニューのリクエストをもらうことも。「最近は煮物や揚げものをする人が減っているからか重宝いただいています。『今夜のおかずに』と買って帰る人も多いですよ」。

と、そのとき、奥さんの隣にいたご主人が野菜売り場に移動。野菜を段ボールから出し始めました。何をしているのか聞いてみると「ここで野菜を売っていた方がしばらく休業することになって、近所の皆さんから『魚、肉、野菜、お惣菜、すべてひとつの場所で買い物できたのに不便になった』という声があってね。ご高齢の方があちこちに買いに出かけるのは大変だし、必要だと思われるものを仕入れているんだ。これから野菜を並べて売るんだよ」。

野菜の販売経験がなく、仕入れのタイミングや数量を見計らうのは難しいと感じながらも「ストアーに来るお客さんのためなら」と利益度外視でやっているご主人。黙々と値段シールを貼る姿に頭が下がります。

ストアーでの出会いを大切にしながら、ゆっくり営業中

精肉店を営むのは山川さんご夫婦。鮮度と品質にこだわった肉を販売しています。ストアーに出店する15年前は小平でお店を出していたそうで、そのときのお客さんが電話で予約をして買いに来ることもあるほど。

お客さんがやって来るのは夕方がピークですが、開店と同時に唐揚げやコロッケ、メンチカツの揚げたてを求めて訪れる人も。帰り際の「ありがとうございました」という奥さんの言葉と優しい笑顔に癒されて帰っていきます。

そして、ストアーの中で唯一飲食ができるのが2年前に開業したtiny little hideout SPOONFUL(スプンフル)です。「最初にここの皆さんが『好きなようにやりなさい』と言ってくださったのがとてもありがたかった」と話すのは眞嶋さん・佐々木さん姉妹。市場のような作りの中でカフェをオープンさせるには大がかりな工事が必要で、土台を組んで床板を貼ったり、壁にペンキを塗ったり、約半年がかりで完成させたといいます。うれしかったのは、その工事をしている間、お客さん達が何かと声をかけてくれたこと。「暑い中で大変でしょう」とジュースの差し入れをもらうなど、オープン前から地域の人達にあたたかく見守られてきました。

スプンフルのメニューは、朝焼きスコーン、マフィンやクッキー、軽食など、姉妹がいろいろな国を旅して出会ったもの。昔からずっと変わらない時間が流れるストアーの中で、日々生まれるドラマを眺めながらゆっくりと営業しています。最近は「はけのおいしい朝市」などのイベントに出店して地域とのつながりも少しずつ広げており、今までスプンフルやこの場所の存在を知らなかった人達からも注目を集めつつあります。

丸田ストアーが地域で長年愛され続けているのは、きっとすべてのお店がそれぞれの店先での出会いを大切にしているから。一度訪れたらまたのぞいてみたい、人に教えたい、そんな気持ちになる場所です。

(編集/テキスト 地域ライター 石川 理麻)

【 information 】

丸田ストアー
〒184-0013 小金井市前原町5-8-3
営業時間 / 12:00~19:00(鮮魚・精肉・惣菜・乾物)
8:00~17:00(tiny little hideout SPOONFUL/スプンフル)
定休日 / 日曜日、月曜日 ★毎週土曜はストアーの特売日
TEL / 042-384-4045(鮮魚・精肉・惣菜・乾物)
080-3386-0635(tiny little hideout SPOONFUL/スプンフル)
アクセス / JR武蔵小金井駅南口から徒歩約25分
JR武蔵小金井駅南口からバス。「府中」行きで「前原交番西」下車、徒歩2分。「前原交番西」の手前の信号(東八道路と小金井街道の交差点からひとつ先の信号)を左に入った住宅街の中にあります

丸田ストアー

約50年前に建てられた丸田ストアー。現在は鮮魚・精肉・惣菜・野菜・乾物のお店とカフェが入っています

魚屋を営む高齊さんご夫婦

45年前からストアーで魚屋を営む高齊さんご夫婦。「魚のさばき方や調理法など、なんでも気軽に声をかけてくださいね」

惣菜屋の山口さん

仕込みをする惣菜屋の山口さん。「化学調味料は一切使わず、ダシをとるところから始めています」。ブリ大根のブリなど、お惣菜に使う魚はストアー内にある魚屋の高齊さんで仕入れているそう

精肉屋の山川さん

正午を回る頃、精肉屋の山川さんから揚げもののいい香りが。唐揚げ、コロッケ、メンチカツ、いかフライなどが並びます

カフェ「tiny little hideout SPOONFUL(スプンフル)」の眞嶋さん・佐々木さん姉妹

カフェ「tiny little hideout SPOONFUL(スプンフル)」を経営するのは眞嶋さん・佐々木さん姉妹。なんとも居心地のいい空間です

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